#澤田ふじ子『奈落の顔』を読む。

澤田ふじ子作品。愛知県生まれ、78歳。時代物を多く描く作家。

副題に高瀬川女船歌とあるようにこの本は高瀬川女船歌シリーズの1冊。

6編の短編が収録され京の居酒屋尾張屋の主宗因と馴染み客の重兵衛を中心に組み立てられている。どれも主題が限られてやさしく読み易い。

『奈落の顔』

「因果な夜」は人情が深い質屋に嫁いだ女。主人のいない時にかって下働きしてた店の女主が質草をもって現れた。お金を借りにきたことでプライドを傷つけられてとっさに女を殺そうとする。宗因は没落した店主のことも考えてなんとかしようと・・・・。

「二本の指」は掏りの道に入らざるを得なかった男が心入れ替え菓子屋で働きだしたのだが悪の道に戻そうと悪者が脅すのだが宗因は人柄を見て・・・・・・。

「始めの他人」は大雨の夜宗因の店で大阪の職人が川止めで明けまで酒を飲んでいた時に外で赤ちゃんの泣き声が。宗因は自分で育ててもと思ったが赤ん坊に曰くが・・。

「奈落の顔」は鋳掛け屋が急死した。葬式にはたくさんの人が詰めかけた。実はかって

同心をしていて捕物最中に息子が「とうちゃん!」と大声をだして盗賊ににげられ職を辞していた。しかし仕事をしながら悪人を見つけると投げ文で知らせて心は同心・・。

喜寿の鮎」は婆さんは歳をとり養子の息子に捨てられるのが怖くて喜寿の祝いに冬の

鮎が食いたいとだだをこねて息子はなんとかして食べさせようと・・・・。

「師走船歌」は高瀬川の船に乗ってきた母子。泣き続ける赤ん坊に前日に娘と結婚話で喧嘩したいらいらで船頭は母子に客が困ってるから船から下りてくれというのだが

客たち全員が怒って船を下りようとする。そこへ宗因は事情ありと相談に乗って・・。

☆☆☆

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