澤田瞳子作品。初めて読ませていただいた。図書館で副題の「東大寺造物・・」に魅かれて手にとって読んでみた。1977年京都市生まれ同志社大卒という。
大仏建立の裏方として食事を作業員に提供する話なのだが・・・。只者ではない。
『与楽の飯』
聖武天皇の治世に廬舎那仏建立の指示があり仏像をつくる作業場や写経の作業場など
いくつかの作業場にたくさんの各地から集められた仕丁といわれる作業員のために炊屋
という食堂が作られた。造仏の作業所の炊屋の長の宮麻呂はかって行基に師事し仏に
仕える身から炊屋に入った曰くありげな人だったが「所詮神仏は人の助けにはならない。人を助けるのは人」と美味いものを食べさせることこそ自分の役目と徹底する人。
全国から集められた仕丁のなかにはいろいろな問題を引き起こす。造仏仕丁のまとめ役
の猪養(いのかり)や仕丁の真楯・小刀良等と作業場や炊屋で起こる事件を解決していく話である。盗みや謀略・出自の悩みなどから最後は宮麻呂の過去が明かされる。
(読み手のテンポと書き手のテンポが合わないと読書も進まない。最後は宗教感もあわせて圧倒する。)
☆☆☆