角田光代作品。さすがに角田作品はいろいろな引き出しがあり文章もいろいろ。
この本はなかなか読むのに時間がかかった。戦争中の学童疎開から有料老人
ホームに入るまでの葛藤・生き方・人間模様が描かれるのだから・・・。
『笹の舟で海をわたる』
食料事情も乏しい学童疎開。疎開中には家を焼かれる人・家族が亡くなる人
子供たちの中でもいろいろいじめや人間模様があった。佐織は大学教授と
結婚して穏かな生活をしているころ風美子という疎開中に関わったという
女性と偶然出会い風美子の積極的な生き方に飲み込まれながら過ごすうちに
教授の甘い生き方をしている弟と風美子が結婚して義姉・義妹の関係になり
さらに密接な関係に。風美子は料理でテレビにでたり本を出版したり
働かない夫にかわって活発に活動する。佐織の子供たちも風美子の生き方に
共感して母親からは離れていく。ふたりとも夫を亡くして一緒に老後を風美子
は暮らそうというのだが・・・・。
「幸せなひとはいるのだろうか、不幸せな人はいるのだろうか。幸せなこと
はある。不幸せなことはある。それは点にすぎない・・・・・・・・」
点を線にしていける人・点をたくさん作る人が幸せな人というのだろう。
☆☆☆