重松清「送り火」を読む。

重松清作品。これまでの重松作品と若干ことなって優しさもあるが

怪奇的というか幽霊がでるような作品も含めて短編9編が納められている。

共通項は富士見沿線に住む人たちの話である。

「フジミ荘奇譚」

社会から落ちこぼれた男が古い安アパートに入ったらそこは猫が老婆に化けた

人たちが住むアパートであった。不動産会社の社長からお金をやるから住人を

追い出してほしいと頼まれる。気が付くと各部屋には骸骨が・・・・・・。

「ハードラック・ウーマン」

フリーランスの女性記者と雑誌の副編集長の男女の話。「街のうわさ」という企画で

タネに困ってホームレスのおばさんを拝むといいことがあるらしいという噂が

あるという話をでっちあげるのだが・・・。

「かげぜん」

ひとり息子を亡くして食卓に亡き子の食事をいつも用意する家族の話。

「漂流記」

子どもが1歳半になるのに合わせて郊外の団地マンションに移った家族。

公園デビューを果たすのだが人間関係であちこちの公園に漂流する話。

「ようそろ」

線路に飛び込み自殺の多い駅で監視役をしている駅員が自殺を防止するとともに

かって自殺者を助けようとして両足切断した先輩に行ってもいない世界各地の

面白い話をつくってもらって自殺したい人にネットで読ませる話。

「おくり火」廃墟となったドリームパークの思い出の話。

「家路」帰宅途中に突然死した男が成仏できずに駅のベンチに座っている。

「もういくつ寝ると」お墓をたてる話。夫と同じ墓にはいるかどうか。

☆☆☆

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