筒井康隆氏の「銀齢の果て」を読む。SF作家ならではの発想に驚いた。
これで筒井氏の本は「細菌人間」「不良老人の文学論」に続いて3冊目だ。
高齢者問題を取り上げるのにこんな発想をしてブラックユーモアにするか!
安楽死を認めるとか、延命治療をしないとか、医療負担を高額にするとか
昔ばなしの姥捨とかそんなレベルではないのだ。
「銀齢の果て」
増え続ける高齢者対策として法律で地区を指定して「シルバーバトル」を
提唱したというのだ。その地区に勝ち残った一人だけは残すがそれまでは
自殺もしくは殺し合いをすることに決めたというのだ。決められずに残った
人たちは行政で殺してしまう、バトルを邪魔した70歳以下の人は
罰するというからすごい。宮脇町五丁目地区が指定されて殺し合いが
始まった。武器はなんでもいいというから強烈だ。疑心暗鬼・計略・
保身などバトルは始まる。登場人物の挿絵までちりばめられてる。
〇高齢者の自分は考えさせられた。あり得るはずはない話と思いつつも
歳をとったらこんな極論にならないためにどう生きるべきか。
年金問題ひとつにしても若者と高齢者との軋轢があってもおかしくないのだ。
神奈川の障がい者施設を襲った事件を思い出した。
☆☆☆