青山文平作品もだいぶ読んできたが「跳ぶ男」は大作だ。
能の話なのだがまったく能を知らない自分にも伝統芸能の能の世界を
垣間見せてくれ幽玄な能の世界にいざなう。
「跳ぶ男」
小さな藤戸藩の崖下を流れている川は藤戸藩の人々の死者を埋め
大雨の時には流されていく。能の奏者の家に生まれた「剛」と「保」は
仲のいい友だったが保は優秀で能吏の道にすすみ「墓参りのできる国」に
したいという夢を持っていた。剛は貧しかったから保の謡・能を見ながら
育った。保は事件を起こし切腹してしまう。剛は能の修練をつづけている時
藩主の身代りの話がきて江戸にいき能によって大きな藩とのつながりによって
保の夢をかなえようとする。それも剛が17歳になるまでの数か月だ。
江戸城の奥能といわれる元締めにまで認められるのだが・・・・・・・。
夢をかなえるための企ては思いがけぬものだった。