藤田宜永さんの本は初めてかもしれない。
直木賞作家であり小池真理子が奥さんという小説家夫婦という。68歳らしい。
この本だけの印象では渡辺淳一さんを静かにしたような大人の愛の物語。
「愛の領分」
若旦那(昌平)が仕立て屋になった元若旦那(淳蔵)と意気投合して遊び歩く。
昌平は淳蔵の実家の倒産した旅館の経営を引き受けた若旦那だ。
淳蔵は昌平の妻美保子に恋するのだが駆け落ち寸前で美保子は思いとどまった。
数十年後 環境が大きく変わっていた昌平と再会し美保子と会うのだが
こころは哀れさのみ、そこで紹介された元使用人の娘佳世と愛に進んでいく。
佳世もまた一時昌平と関係をもっていたと知って・・・・・・・・・・・・。
ラストは昌平が淳蔵に手紙をよこす。
ガンで余命がないこと美保子を見守ってほしいと。
「高価な帯も着物に合わなければ意味がないように愛にも領分がある」
それが題名になったようだ。
男は男同士の相性。そして女とも相性・つりあいが必要と。